ブログ
入浴介助時の”目隠し問題”どうしてる?改修でできる配慮とは
2025.07.15
特別養護老人ホームの現場で日々課題となっている入浴介助時のプライバシー保護。「利用者様の尊厳を守りたいけれど、安全面も考慮しなければならない」「浴室の構造上、どうしても見えてしまう部分がある」といった悩みを抱えている施設長様も多いのではないでしょうか。
今回は、入浴介助時の目隠し問題について、改修によってできる配慮と実践的な解決策をご紹介します。
入浴介助時の”目隠し問題”とは
入浴介助における目隠し問題は、主に以下のような状況で発生します。
- 浴室入口から浴槽内が見えてしまう
- 脱衣所と浴室の境界が曖昧で、プライバシーが保たれない
- 複数の利用者が同時に入浴する際の視線の問題
- 廊下を通る職員や他の利用者からの視線
- 機械浴使用時の周囲からの視線
これらの問題は、利用者の尊厳を損なうだけでなく、入浴拒否の原因となることもあり、施設運営における重要な課題となっています。
改修による解決策
1. パーテーションの設置
最も効果的で取り組みやすい解決策が、適切な位置へのパーテーション設置です。
パーテーション設置のポイント
- 視線を遮る位置への設置:浴室入口、脱衣所、浴槽周辺など
- 安全性を確保:転倒リスクを増加させない配置
- 介助のしやすさ:職員の動線を妨げない設計
- 清掃・メンテナンス:衛生管理しやすい材質と構造
2. 脱衣所の個室化
脱衣所を個室化することで、着替え時のプライバシーを確実に保護できます。既存の脱衣所を区切り、個別のスペースを作ることで、利用者の安心感を向上させることができます。
3. 浴室内の視線対策
浴室内においても、以下の改修により視線対策が可能です。
- 半透明パネルによる浴槽の仕切り
- 機械浴周辺の目隠し設置
- 浴室入口の扉やカーテン設置
- 洗い場の個別化
改修時の注意点
消防法・建築基準法への対応
改修を行う際は、消防法や建築基準法への適合を確認する必要があります。特に以下の点に注意が必要です。
確認事項
|
対応方法
|
---|---|
避難経路の確保 | 改修後も避難経路が確保されているか確認 |
消防設備の配置 | スプリンクラー、火災報知器の位置調整 |
換気設備 | 湿気対策と適切な換気の確保 |
照明設備 | 安全な明るさの確保 |
居ながら改修の実施
特別養護老人ホームでは、利用者様が生活を続けながら改修を行う「居ながら改修」が一般的です。安全で効率的な工事を行うため、以下の点に配慮します。
- 工事スケジュールの調整(入浴時間との兼ね合い)
- 騒音・振動の最小化
- 粉塵対策と衛生管理
- 利用者・職員の安全確保
- 代替入浴設備の確保
実践的な改修プラン
段階的改修のススメ
予算や工期の関係で一度にすべての改修ができない場合は、段階的な改修をお勧めします。
- 第1段階:最も重要な視線対策(浴室入口の目隠し)
- 第2段階:脱衣所の個室化
- 第3段階:浴室内の詳細な視線対策
改修後の効果測定
改修後は以下の観点から効果を測定し、さらなる改善につなげることが重要です。
- 入浴拒否の減少
- 利用者満足度の向上
- 職員の介助のしやすさ
- 事故発生率の変化
- 家族からの評価
- まとめ
入浴介助時の目隠し問題は、適切な改修により解決可能な課題です。利用者の尊厳を守りながら、安全で効率的な介助環境を整備することは、施設の質の向上に直結します。
改修を検討される際は、現在の課題を明確にし、優先順位をつけて段階的に取り組むことをお勧めします。また、補助金の活用や専門業者との連携により、効果的な改修を実現できます。
利用者様が安心して入浴していただける環境づくりは、特別養護老人ホームの重要な使命です。今回ご紹介した改修のポイントを参考に、より良い入浴環境の実現に向けて取り組んでいただければと思います。
※改修をご検討の際は、必ず管轄の消防署や建築安全センターへの事前相談をお勧めします。また、補助金の申請については、各自治体の担当部署にお問い合わせください。